春木屋に通う理由
春木屋のラーメンを、突然食べたくなることがある。
春木屋というのは、東京の荻窪にある恐ろしいほど有名なラーメン屋で、恐ろしいほど強烈な「中華そば」を体感できる店だ。我々は荻窪のほうへ行く用事ができると、必ず春木屋が選択肢に入る。予定に入れているのではない。入ってくるのだ。
「入ってくる店」というのは、体中の細胞に何かしらの記憶が刻まれていて、理屈の前に足が向く店だ。「旨い」とかそういう問題ではないのだと思う。「行きたくなる」とも違う。なんなんだろう。
そして春木屋へ行くと、腹とは別に、毎回満たされるものがある。
ものづくりにおいて、
「極端なものを作っていい」という確信である。
文章でも、小説でも、動画でも、誰にでも愛される素晴らしいバランスを保ったものを目指したくなる。あらゆるリスクを背負うことのない、大勢に喜んでもらえる平和的で嫌われないものを。
春木屋のラーメンは、そんなものとは別の次元にある。
とにかく斬新だ。新鮮だ。
極端で、強烈だ。
しかし店構えには安心するのである。
春木屋の「中華そば」は、
これぞラーメンという姿をいつも見せてくれる。
その姿があることに、本当に感謝しかない。
これからも、
変わらないために通い続ける。
